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2015G7ドイツ・エルマウサミットとウクライナ問題
(ワシントン・ポスト紙)

2015年6月9日

2015年のG7エルマウサミットの主要な議題はウクライナ問題。先進7ヶ国がロシアに対して経済制裁しようにもロシアをめぐるそれぞれの思惑によりなかなか上手くいかないところに国際政治の難しさを感じました。それがわかる記事がワシントン・ポスト紙にありましたので紹介いたします。G7各国とロシアとの関係が外観できます。ちなみにサミット名について英語圏と日本では呼び方が違います。日本ではドイツのバイエルン州の会場となる町の名前から「エルマウサミット」と呼びますが、英語圏ではバイエルン州の英語名BavariaにちなんでBavaria Summit(ババリア・サミット)と呼ぶようです。詳しくはガーディアン紙をご参考下さい。

原文はこちら。New fighting in Ukraine likely to dominate Obama’s European trip (ウクライナにおける新たな戦闘によりG7サミットの議題はウクライナ問題になるだろう)(ワシントン・ポスト紙)

先進7カ国が集まるサミットに出席するためドイツ入りするオバマ大統領を歓迎するかのようにロシアに支援されたウクライナの分離独立派が数ヶ月続いた休戦協定を破り、ロシアを忘れるなというメッセージとともに絶妙のタイミングで「祝砲」を放ち、この戦闘で20人以上が死傷しました。

2015年のG7ドイツ・エルマウサミットの主要な議題はいかにロシアに厳しい制裁を課しプーチンを封じ込めるかについてです。かつてG8の一角を占めたロシアは、現在サミットに参加することも許されていません。

ベン・ローズ国家安全保障副顧問の「われわれは足並みをそろえて早急にロシアのウクライナ政策に反対するべきだ」という声明から米国の焦りとG7の足並みの乱れを感じ取ることができます。オバマ大統領の手腕が試されるのがG7サミットの場なのですが、プーチンがクリミア半島を一方的に併合した直後に開催された昨年のG7サミットとは状況が相当異なっています。

欧州、米国、日本はそれぞれロシアに対して思惑があり、それが足並みの乱れを引き起こし、ウクライナ情勢が膠着状態に陥っています。

欧州については、欧州の財界が経済制裁を緩和するよう欧州各国の首脳に働きかけていますが、オバマ大統領は引続き経済制裁を継続するよう欧州の首脳を説得しています。

米国もロシアと利害関係にあります。ロシアはシリアにおいて「イスラム国」と戦う上で必要不可欠なパートナーであり、さらにイランの核開発においてもロシアの影響が計り知れません。この2点に関してもG7で討議されますが、オバマ大統領は大胆な動きがおそらくできないだろうと予想されます。そして、それがウクライナがプーチンの思いのままになっていくことにつながるのかもしれません。

ワシントン・ポスト紙では言及されていませんが、日本もご存知のようにロシアと利害関係があります。北方領土返還交渉を再開したい安倍首相としてもロシアに強く出られない事情を抱えています。言葉では強く出ても実質的な経済制裁には及び腰なのではないでしょうか。

プーチンにも実はプレッシャーがあります。経済制裁に加え原油価格の下落によりロシア経済に相当な打撃があり、さらにウクライナでロシア兵を戦死させたくないと思う全ロシア国民からの圧力も受けています。

すべてのプレーヤーの相互の利害関係が絡み合っていることがウクライナ情勢を膠着状態にしています。

プーチンはウクライナ問題を悪化させずアメリカが率いる同盟国の様子を伺っていて、プーチン自身が一番どうしたら良いのか十分にわかっているので過激なことはしないだろうというのが大方の見方のようです。ウクライナをめぐり大規模な戦争が勃発するのではないと昨年危ぶまれていたのですが、おそらく膠着状態がこれからも続きクリミア半島のロシア併合が既成事実化していきそうです。

G7各国の思惑を見透かすように時が来るのを虎視眈々と待っているプーチンの狡猾さに紛争解決の難しさを感じました。ウクライナ問題を見ていて思ったのは、戦前の植民地主義もある意味既成事実の積み重ねで領土拡大をしていったのかもしれなく、現在ウクライナで起きていることは実は新しい時代の幕開けなのかもしれません。ある意味中国の南沙諸島埋め立て問題も既成事実の積み重ねという点でロシアのクリミア半島併合と本質的には同じという見方もできます。


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